プチ連載小説「陰陽仙華」その33
鏡夢は宮中で長らく使われた鏡に、魂の宿った付喪神・・・照魔鏡である。
真実を照らし出すと共に、目くらましで相手を惑乱させることもできるのだ。
鏡夢が衣の袖でふわりと男を包み込めば、たちまち姿が見えなくなった。
「さて、あやかし退治と参りましょうか。空哉殿、お願いいたします」
「うむ、これで心おきなく暴れられるぞ。小生の本気を見せてやろう」
空哉が羽扇の先をあやかしへと狙い定め、おもむろに呪を唱え始める。
空気がビリビリと震え、力が集められていく。
「烏修法・千斬鋼!」
羽扇から、速さと鋭さを増した斬撃が放たれあやかしの触手を切り刻んだ。
一振り、二振り。羽扇を振るごとに斬撃は数と威力を増していく。