永山嘉月の創作ラボ

永山嘉月が小説・イラスト他色々を創作するブログ

真夜中の魔法

眠って眠って ふと目を覚ましたら そうっと窓を開けて 外を眺めよう 深夜の時間は 魔法の時間 たっぷりの神秘が 世界を包む時間 街のにぎわいも 息をひそめて なだらかな静謐が 夜気に広がる 見上げた満天の星たちは 遥かなる物語を紡ぐ うっとりと吸い込ま…

故郷で生きる私

氷雪の野の上でゆっくりと朽ちていくそれもまた楽しいと西日に染まる街を見つめて考えた人のかたちを 物のかたちを時はただ運んでいく過去に運んで変えてゆく私は留まっていられないあれらも留まっていられないかつて共にあった彼らも人から物へと形を変えた…

ウラオモテの魔術師

魔術師は抱えている左手に分厚い本を 右手に脈打つ心臓を彼のローブは半分が黒で半分は白紡ぐ言葉が右から左へいつだってまとまりがない紡ぐ言葉が左から右へまとまりすぎて面白くない どれが本当の貴方なのかと尋ねればどれも本当の私であると答える時折回…

一年十年千年五年

後に戻れぬ 道の先永久(とわ)の眠りの その時も安けくあらん 願わくば今の辛さを 胸に抱き 星よ蛍よ 瞬いて光を落とせ 足元に微かであれど 慰めに時にしるべに 安らぎに 浮世の辛さ 抱え込み潰れる前に 天を見る澄んだ空にも えにしあり雲の中にも ゆかり…

夏の世界

裸足で歩く草の上やわらかな緑の絨毯の上爽やかな色の風が 気ままに走り抜ける そびえたつ木々が 風に呼応して葉を揺らすまあ あの風は元気ねえ 大層男前だねえそんな調子で口々に 隣の木と噂する 空はただ 青い 太陽はただ 暑い天から噂好きな木々を すばし…

深夜明鏡止水

密かな夜に泣き笑い 陽の射す社会が辛くとも 夜の帳はただ優しい 静謐と安息と 眠る者達の見る夢が 思索の時に花添えて 独り我が身を水鏡に 映して癒す心あり