永山嘉月の創作ラボ

永山嘉月が小説・イラスト他色々を創作するブログ

プチ連載小説「陰陽仙華」その49

「人と共存して生きていくつもりは、ないようですね」

 

「人間なぞ、わらわが虐めるために生きているようなものじゃ。大人しく喰われて力を寄越せばよい。・・・陰陽師はただの人より美味そうじゃな」

 

針永姫は元々細い目をさらに細めてにいい、と笑った。あやかしの間では、陰陽師を喰らうとただの人を喰らった時より強い力を得られる、というのが通説になっている。

 

悪意あるあやかしにとって陰陽師は脅威だが、同時に力を増すための好機ともなりうるのだ。事実、そうした野心的なあやかしによって喰われた陰陽師もいる。

 

「仕方がありません。祓わせていただきます」

 

事務的にそう告げると、行実は懐から呪符をいくつか取り出して構えた。