プチ連載小説「陰陽仙華」その31
あやかしは不敵な笑みを浮かべると、無数の触手を伸ばして行実と空哉に向けた。
それぞれが赤黒い妖気によって、より禍々しく強化されているようだ。
「我を怒らせし事、あの世で後悔するがいい。この力があれば我は無敵よ!」
触手が走る。空哉が風を起こして吹き散らそうと試みるが、ぎしりと軋んだ程度でその進行を妨げることはできなかった。
「くうっ!なれば、これはどうだ!」
羽扇の先に霊気を集中させ、硬度を上げる。真横に薙ぎ払い、かろうじて触手をはじき飛ばした。