プチ連載小説「陰陽仙華」その40
「力を貸してくれてありがとうございます。共にあやかしを倒しにいきましょう」
社の前に戻った行実は、鏡夢の保護していた男を解放すると屋敷へ戻った。
男はしきりに頭を下げて礼を言っていたが、しばらく夜歩きは控えることだろう。
それからまた何日か経った。その間に行実が調べたところによると、不知火山の中腹には昔きこりが住んでいた小屋があるらしい。
今は使われなくなって久しいが、時折付近を通る者もいた。
その中でも霊感の強い者は、小屋の方から何ともいえぬ嫌な気配を感じると言う。
まず間違いなく、そこに何かが棲んでいるだろうと行実は見ていた。